第20章 未来への扉
夏希が答える。
『もりすけの気持ち、
ハッキリ聞けてよかった。
そうだね、
もりすけが好きだっていうもの、
私も同じ気持ちで応援できたら
最高だもんね。
…バレーみたいに、ね。』
『うん。
夏希には、味方でいてほしいから。
一緒に、ゼロから作っていこう。
あのさ…
担当プランナーは早瀬じゃダメかな?
夏希がイヤなら別のヤツもいるけど、
俺が一番、信頼してる仕事のパートナーは
早瀬なんだ。
あ、仕事のパートナーとしてだよ、
あくまでも、仕事。』
『(笑)もちろん!
…この間のは、私のヤキモチだから。
私も絶対、早瀬ちゃんがいいよ。』
あぁ、よかった。これもクリア。
あともうひとつ、
大事なことを。
『夏希、それと…これ。』
赤い小さな箱を手渡す。
『あの日、渡せなくてごめんな。
遅くなったけど、クリスマスプレゼント。』
『わぁ!開けていい?』
『もちろん。』
夏希の小さな手が
スッとリボンをはずし
カタッと箱を開ける。
『あ、猫?かわいい!
こっちは…えーっ、私のイニシャル?!
じゃ、これ、オリジナルなの?
…ね、電気、つけて。ちゃんと見たい。』
『…電気は、あとで。
ちゃんと見るのも、あとで。』
夏希の手から箱を取り、
ネックレスを取り出して
夏希の首に手をまわし、
そっとはめる。
『うん。よく、似合う』
『だから、私も見たいんですけど。
電気つけ…』
『うん、だから、あとで。』
そう言いながら、
夏希のシャツに
手をかけた。
もう、待てないよ。
ずっと、会いたかった。
ずっと、触れたかった。
すっと、抱きたかった。
俺の、大事な
俺の、大好きな、仔猫。
いっぱい、
鳴き声、聞かせて…