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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第20章 未来への扉


あらかた食べ終わった頃、
俺は、冷蔵庫からケーキを取り出す。

『ええっ!ケーキもあるの?』

『もちろん。
クリスマスといえばケーキ、だろ?
…残念ながらサンタはのってないけど(笑)』

苺のケーキ。
小さいけど、ちゃんと丸い形の。

添えてもらった細いろうそくをたて、
気持ちを込めて灯をともし、
部屋の電気を消した。

カーテンの向こうに、大きな月明かり。
部屋の中には、小さなキャンドルの炎。

『あのさ、』

炎でゆらゆらと光が揺れる顔を見ながら
夏希に、ゆっくりと言う。

『披露宴で時々"エンジェルブレス"って
するんだ。』

『エンジェルブレス…天使の吐息?』

『そう。ヨーロッパでは、
キャンドルの炎には天使が宿っていて、
願いを込めてそっと炎を吹き消すと
天使がその願いを叶えてくれる、って
言われてるんだって。』

『へぇ…初めて聞いた。』

『だから夏希も、
このろうそくに願いを込めてみて。』

『七夕みたい(笑)』

『(笑)真面目に!』

俺は、炎を見つめる夏希に祈る。
…頼むから"当たれ、宝くじ"とか
願うんじゃねーぞ…

『ん、願い、込めた!』

『じゃあ、そーっと、吹き消して。』

スウッ、と息を吸い、
フッという音。
部屋に闇が訪れる。

そして、月明かりに慣れてきた目に
ぼんやりと浮かび上がる
夏希の顔。

『…何、願った?』

『もりすけと、こうやって
ずっと一緒にいたい、って。』

…心底、ほっとする。
よかった、違う願いだったら
全てが水の泡、だった。

『その願い、天使じゃなくて、俺が叶えるよ。』

暗がりのまま、夏希を抱き締める。

『結婚しよ。』

『…え?』

『これ、ただのプロポーズじゃなくてさ、
…俺と一緒に、二人の結婚式、作ろう。
俺が日頃、どんな仕事してるのか、
夏希に知ってもらいたいんだ。

そしたら夏希も、
俺が、自分の仕事の何が好きなのか、
少しでもわかってくれるかな、って。

俺、夏希のためにも
仕事、頑張りたいしさ。

逆に、いい仕事したいから、
夏希にも応援してほしいし。

夏希と仕事は、
どっちが大事、じゃなくて、
どっちも大事、なんだ。』

これが、
俺が出した、答え。




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