第20章 未来への扉
翌日の月曜日。
仕事を早く終わらせて
職場を出た。
明日は火曜、仕事は休み。
落ち着いて話をするなら
今日が一番、いい。
…買い出しをしてから夏希の家へ。
よかった。
まだ、帰ってない。
今日は俺が、夏希を待つ。
いつも待たせてばかりだったから
今日は、何時間でも、待つ。
…クリスマスプレゼントに
合鍵、もらったけど、
勝手に家に入る気はさすがにしなくて、
夏希の部屋の前で
一時間ちょっと、待っただろうか。
廊下の角を曲がって現れた、夏希。
『…もりすけ?!』
息が止まりそうなくらい
ビックリした顔をしている。
『よっ。久しぶり!』
『…どうしたの?』
『伝えたいことがあって。
急で悪いけど、来ちまった。
…あがってもいいかな?』
『いいけど…』
あの日以来の夏希の部屋。
あれから一ヶ月以上、たつのか…
部屋に上がる。
『まずは、飯にしよーぜ!
夏希、シャワー浴びてこいよ。』
『え?う、うん…』
キョトンとした顔の夏希が
浴室に消えると、俺は、夕食の準備…
とはいっても、
買ってきたものを並べるだけなんだけど…
をした。
『わぁ、豪華!…どうしたの?
今日、別に何の日でもないよね?』
『この間の夏希の手料理には
全然、及ばないけどさ…』
ビールを取りだし、渡す。
『な、クリスマスパーティー、やり直そ!』
あの日、止まってしまった時間を
やり直すところから、始めたいんだ。
『…いいね、そうしよう!』
すぐに笑って賛成してくれた夏希。
そうそう、このノリのよさ、
この笑顔、これが俺の大好きな夏希。
『よし、ほんじゃ、今さらだけど
"メリークリスマス"!!』
二人で、乾杯した。
一月下旬。
やり直しの、クリスマス。
なんだかおかしいけど。
失敗したら、
何度だってやり直せばいい。
もとに戻って、
そこからまた始めればいい。
1度別れて
また付き合った俺たちのように、
チャンスがある限り、
またやり直せばいいじゃん。
…年末年始に何をしてた?とか
そんな他愛ないことを話しながら、
前と変わらない二人の時間が
過ぎていく。
会いたかった。
これからも毎日、
こんな普通の時間を
積み重ねたいんだ。