第20章 未来への扉
『とにかくさ、』
クロが、
焼酎のグラスをグッと飲み干す。
中に残った氷が、
"話はここまで"とでもいうように
カランカランカラン…と音を響かせた。
『夏希に謝ることより、
夏希が迷わずスッキリ
夜っ久んのことを好きでいられるような
お前の答え、早く見つけろよ。
まずは夜っ久ん自身が安定しないと、
お前ら、先はねーぞ。』
『ん…』
薄ぼんやり思っていたことを
ハッキリ言われて、身が引き締まる。
"俺が、どうしたいか。"
これが、鍵、なんだな。
あれだけ飲んでも
顔色ひとつ変わらないクロ。
さらに
焼酎ロックをおかわりする声がした。
『夜っ久ん、明日も仕事だろ?早く帰んな。
俺、明日、休みだから、もちっと飲んでくわ。』
『ひとりで?』
『誰か相手ほしくなったらナンパすっから。
夜っ久んいたら、ナンパできねーだろ?
それこそ、夏希にシバかれるわ!』
…一人でちゃんと考えろ、っていう
クロの優しさ、だと思う。
だから、
俺は一足先に引き上げることにした。
夏希のことを、考えながら。
待っててくれる、
信じてくれてる、
その気持ちに、
どんな答えを返せるか。
考えろ、
考えろ、
考えろ、俺。
多分、答えは、
すぐそこに、ある。
すぐそこ…って、
どこだ?!