第14章 祝福の拍手
『…えらく唐突だな。』
『早瀬さんはまだ、
烏養さんのこと、忘れられないみたいですよ。
お互い、キライじゃないのにダメになった…
って言ってました。
だからもし、烏養さんも同じ気持ちなら
今からでも、仲直り出来るんじゃないかと…』
烏養さんは、腕を組んで
レジの置いてある台に腰をのせた。
『…お前、なんでそんなこと言うんだ?』
まだ誰にも言ってない、俺の、想い。
だけど烏養さんには、正直に伝えなくては。
それが、俺の覚悟の表れでもあるから。
『俺…早瀬さんのこと、好きなんです。
好きっていうか、憧れてるっていうか。
別に、告白したいとか
そんなんじゃなくて、
見てるだけで幸せだって思うくらいに。
でも、最近の早瀬さんは、
元気そうにしてるけどそうじゃなくて。
やっぱり、心から笑っててほしいから…』
『俺たちが付き合ってたのも別れたのも、
早瀬から聞いたのか?』
『いいえ。
彼氏と別れたってことは聞きましたけど
名前は教えてくれなかった。
でも、早瀬さん見てたらわかります。
いつも烏養さんのこと、
不自然に避けてるから。
好きじゃなかったら、あんなことしない。』
『もし、俺がまだ早瀬のことを
好きだって言ったら?』
『俺がそれを早瀬さんに伝えます。
ちゃんと話しあってみて、って。』
『…じゃ、もし俺が、もう、
早瀬とは終わりだって言ったら?』
『その時は…
俺が、告白します。
俺が、彼女を、支えます。』
『そうか…
じゃ、俺の答えはこうだ。
…山口。
早瀬を、頼む。』
え?
『烏養さん…もう、好きじゃないんですか?』
『イヤ、早瀬が言う通りだ。
俺たちお互い、
キライで別れたわけじゃない。
むしろ、結婚しようと思ってた。』
…わけが、わからない…