第14章 祝福の拍手
翌日。
仕事のあと、
俺は、坂ノ下商店に向かった。
ここに来るのは高校卒業以来だ。
あの頃の俺たちそっくりな
烏野の部活動生たちが
入れ替わり立ち替わりやって来ては
肉まんやパンやアイスを買っていく。
夕暮れの中、立ち止まり、
目の前の時の流れを見つめる。
なんだか不思議な気持ちだ。
制服も、行動も、店のまわりの風景も、
俺たちの頃と全然かわってない。
懐かしいな…と思うと同時に
あれからの数年で変わったものも
たくさんあることに気付く。
バレー部の仲間や先輩も、
みんな社会人になった。
今では結婚してる人もいる。
バレーを続けてる人も、辞めた人も。
地元にいる人も、県外にいる人も。
そして俺は、これから、
大好きな人のために、
烏養さんと、男として向かい合う。
…高校時代の俺からは、考えられない状況だ。
どんな展開になるのか、全く想像がつかない。
でも、
俺は今でも、烏養さんのことを信頼してる。
怒りとか、負けん気とか、嫉妬とか、
そういうんじゃないんだ。
ちゃんと、話したい。
ちゃんと、聞きたい。
バレーの先輩としてだけではなく、
"男の先輩"として、
俺の恩師であってくれることを信じて。