第14章 祝福の拍手
烏養コーチ。
俺の高校生活を語るに欠かせない、
大事な人だ。
恩もたくさんあるし、尊敬してる。
今は同じチームの先輩でもある。
…俺じゃ到底、越えられない人だし、
裏切れない人だ。
それなのに、
俺の好きな人を
悲しませた人でもあるなんて…
俺、どうしたらいい?
高嶺の花、恩師、俺。
立場をわきまえて遠慮するべきか?
玉砕覚悟でぶつかるべきか?
それとも…
烏養さんと過ごした部活時代の三年間。
早瀬さんに憧れてきたここ数年間。
思い返せば思い返すほど、
どっちも、俺にとって、
比べるものがないくらい大事だったと
実感する。
…流れに身を任せていたら、
俺、きっと後悔する。
"逃げる方が、後でツラい。"
俺がバレーを通して学んだことの1つだ。
…うん。…
どっちも大事な人。
だからこそ、
この局面、
俺、
自分で決めに行く。