第14章 祝福の拍手
早瀬さんと親しくなってから、
彼女を見る俺の視点が
変わったんだと思う。
俺、今までは、
早瀬さんの姿そのものを
追いかけて見つめてた。
でも、最近は
早瀬さんの見ているものが気になるんだ。
何を見て笑うのかな、とか
誰と一番仲良いのかな、とか
彼女が見ている窓の外の風景は
どんななんだろう、とか。
最初のうちは、純粋に
彼女の目に映るものが知りたかった。
…そうしてるうちに
気付いてしまったんだ。
いつも早瀬さんの
視線の端っこにひっかかってる人。
でも、
不自然に視線から外そうとしてる人。
多分、間違いない。
それに気付いた時、
俺は、手にしていたボトルを
落とさないようにするのが
やっとだった。
早瀬さんが別れた彼って、
…烏養さんだ。