第14章 祝福の拍手
狭い車のシートの上で動きまくったから
服も髪もぐちゃぐちゃにさせてしまった。
『あの、…なんか、すみません。』
『謝るのは私の方。ごめんね、無理矢理…』
『俺はいいんですけど…早瀬さんこそ、
このくらいじゃ、とても、彼のこと、
忘れられないですよね…』
『…どうなんだろ…』
『あの、泣きたかったら泣いてください。
俺、絶対誰にも言いませんから。』
『…こういう時、泣けたらいいのに。
私、ホント、かわいくない女だ…』
それは多分、俺に対して、というより、
きっと、彼との別れ際のことを
言っているんだろうな…