第117章 シルバーアクセサリーは温泉で黒くなる。
そしてその沈黙を破るように土方が自分の首元後ろを撫でながら言葉を押し出した。
土方「・・・・事故とは言え、悪かったな。助かった。」
葵咲「い、いえ、私の方こそ。」
温泉でバッタリ遭遇したのが葵咲で良かった。土方は心底そう思う。他の連中だったら痴漢扱いされて一瞬で終わり。しかも自分を案じて助けてくれた事に心からの感謝しかない。
それは葵咲も同じ気持ちだった。のぼせて倒れて介抱してくれたのが土方で良かった、そう思った。
お互いがお互いに感謝の意を述べる中、土方は更に続ける。
土方「さっきの件だけじゃねぇ。今回の幹事、大変だったろ?色々助かった。」
葵咲「!」
当初は将軍を連れての慰安旅行に反対していた土方。それがこんなにも穏やかに礼を述べてくれるなんて。その事に葵咲は嬉しく思う。葵咲は穏やかな笑みを携えて言葉を返す。
葵咲「…いえ、確かに大変は大変だったけど、楽しかったから。計画からずっと。こんな大勢で旅行に行くのなんて初めてだったし、ビンゴ大会とか温泉とか肝試しとか。どれも初めての体験で、最高の時間だなって。」
土方「そうか。」
本当に楽しそうに、そして嬉しそうに語る葵咲を見て、土方は安心したような笑みを浮かべる。
そしてふと何かに気付いたように声を上げた。
土方「…そういやお前、ネックレスどうした?」
葵咲「え?」
土方「大事なモンだっつってなかったか?」
葵咲「!」
その指摘に葵咲は慌ててバッと胸元を抑える。そして土方をキッと睨んだ。
葵咲「やっぱり裸見たんじゃない!」
土方「えっ!?いや、違ぇーよ!!首元は普通に今も見えんだろーが!」
葵咲「あっ。」
(土方:セ、セーフゥゥゥゥゥ…。)
ついボロが出てしまっただろうかと土方は一瞬焦るが、瞬時に状況を把握して機転を利かせる。フォローの男は伊達じゃない。