
第117章 シルバーアクセサリーは温泉で黒くなる。
幸い、先程の葵咲の台詞、“土方がここにいる”というワードは聞こえていないようだ。
小声で土方へと己の間違いを指摘する葵咲。間違いない。ここは女湯で、誤って入ったのは自分の方なのだと悟る土方。
だがどうにも解せない。確かに暖簾をしっかりと確認してから足を踏み入れたはず…。そんな思考を巡らせた時、土方の脳裏に とある懸念が過る。温泉に来る直前に遭遇した人物、山崎。山崎は協力するだ何だと言っていた。
(土方:山崎(あいつ)の仕業かァァァァァ!!)
そう、山崎は葵咲が土方よりも先に温泉に足を向けていた事を知っていたのだ。ドキドキのハプニングから急接近を促そうとしたらしい。だがここで土方は冷静に状況を見る。
(土方:あのヤロー協力する気ねーだろ!こんなもん、痴漢扱いされて幻滅されるだけじゃねーかァァァァァ!!)
土方の怒りはごもっともである。恋愛偏差値の低い近藤と山崎の考えた急接近案は女子にとっては最低最悪のもの。
土方が怒りで沸々としていると、奥の湯船から九兵衛が声を上げる。
九兵衛「葵咲ちゃん、大丈夫か?今すぐそっちに…」
土方「!?」
これはマズイ、非常にマズイ!
警察としての不祥事件だ。
葵咲と急接近どころか、一生触れられない場所へと幽閉されてしまう。
青ざめる土方を見て、葵咲が慌てて九兵衛達に言葉を返した。
葵咲「だ、大丈夫!なんでもない!なんでもないよ!さっきのスタンド達に出くわして、ちょっと吃驚しちゃっただけ!!」
妙「そう??」
まぁ本人が大丈夫と言うのなら問題ないか、そう思った妙と九兵衛はそのまま温泉に浸かる。
ひとまず危機は脱した。その事に葵咲達は深い安堵のため息を漏らす。
そして前をタオルで隠しながら、土方の方を向いてキッと睨む。
葵咲「…もう、何やってんの!?まさか…覗…」
土方「違ぇよ!!俺が入った時ゃホントに暖簾が…」
葵咲「・・・・・。」
本当なのだろうかと、その真意を確かめるように じっと睨みつける葵咲。だが土方の目に嘘は無さそうだ。まぁ近藤ならまだしも、土方が覗きをするとは思えない。仮に覗くにしても、こんな堂々と女湯に乱入してくる事はないだろう。
大方、総悟か誰かに暖簾を変えられてハメられたのだろう、等と察しがついた。(総悟ではなく山崎だった為、総悟としては とんだとばっちりになるわけだが。)
