第6章 新しいワタシ
涙がポロポロとこぼれる。
男の人は驚いて、大丈夫かいと尋ねてきた。
大丈夫です、と何回も言った。
そんな泣きじゃくる私の頭を撫でてくれた。
小さな子どもを褒めるように。
お父さんみたいだった。
私にはお父さんに捨てられたから余計嬉しくて、でも何だか照れくさくて。照れくさいけど、このままずっと頭を撫でて欲しかった。
甘えてる場合じゃないよね。
ここは戦場であって早く集合場所に向かわなきゃ。
この人も連れて行かないと。私よりひどい怪我を負っている。
助けないと。
とりあえず救護施設に連れて行って、その後、集合場所に行く。
だけど、もう集合場所にはいないだろう。
「私の背中に乗ってください。救護施設までおんぶして連れて行きます」
私は男の人の前にしゃがむ。
「そ、そんな。君だって、大量に血が出ているじゃないか」
私は自分の体を見る。
制服に血は大量についている。
だけど、なんで?
傷は1つもない。私は生きているよね、、?
「あ〜ぁ、めんどくさいなぁ」
そんな声が聞こえたかと思えば私はすでに夢の中にいた。