第6章 新しいワタシ
歩いても歩いても、(そもそも天国とやらの位置さえ分からないのだが)目的地に到着できない。
てっきり、雲の上だと思っていた私だが、空は飛べないみたいで。
本当にどこに行けばいいのやら。
「あーー!!!!」
どうしたらいいか、とりあえず叫んでみた。
もしかしたら、天使は私があまりにも殺風景な道端で死んでしまったものだから、気付かなかったのじゃないか?なんて思っていた。
「誰かいるのか?」
どうやら、私の予想通りだったみたいで、早速反応があった。
だけど、そこには天使でもなく、ましてや、悪魔でもなく
普通の男の人、日本帝鬼軍の人間が立っていた。
しかも、制服も体もボロボロで骨折してると思わせる骨の形。
実際私は傷が治っていたわけだし、この男の人も死んでいるのだったら、傷はないはず。
だけど、そうじゃないこの人は、死んでいない。
男の人は私を見つけると手を振る。
助けてくれと言いながら。
私のことが見えている。
ならば、私は死んでいないのか?
死んでいなくても辻褄が合う。
私は死んでいなかった。生きていた。
まだ、優にもミカにも会うことができる。