第5章 吸血鬼と人間
シノア隊は新宿にいた。
「優さん。いつまで落ち込んでるんですか?
「落ち込んでなんかいねぇよ」
「みやびちゃんが死んでしまったのをグレン中佐がいつもは、そいつの執念足りてなかっただけだなんて言うはずなのに、俺のせいだーなんて、言ってるなんて」
シノアは優の顔色を窺う。
「ま、でも、そんなに優さんが気にすることでもありません。みやびちゃんも優さんが元気でいた方が喜んでくれるに決まってます」
優はみやびが死んでから元気がないのは事実である。
みやびが死んだことに負い目を感じている。
優は、ミカエラの死んでいく顔を見ていた。
その時のミカエラの表情は忘れることはない。
「みやびを連れて逃げて」と言わんばかりの眼差しで優を見つめたあの顔を。
そして、みやびを抱きかかえて逃げた。
最後見えなくなる前に振り返ったときは、「ありがとう。みやびを頼んだよ」なんて言っていた。