第1章 はじまり
しばらくここで休んでおくようにと、グレンから言われたため、私は1人で何もない部屋で寝ていた。
まだ状況が飲み込めていない。
「入るぞ」
懐かしい声がした。
だけど
入ってきた男には見覚えがない。
誰だろう。
「お前、大丈夫か?俺のこと思い出せないのか?」
どこか悲しげな声。
「俺は白夜優一郎。お前の家族だ」
白夜優一郎、、、、
私と一緒に脱出した人。
だから、懐かしいと思ったのか。
私はこれ以上悲しませたくないと思った。
だから、つい嘘をついてしまった。
「名前くらい忘れるわけないでしょ。優」
そして、無理やり笑顔を作って見せた。