My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
「それより…手、外して…これ…」
余韻の所為か、未だ力ない声で催促してくる雪に、素直に聞いて縛っていた髪紐を解く。
下布を当てていたから跡は何も残っていない手首を胸元で握りながら、雪は上気した顔を僅かに逸らした。
「あんまり…いじめないで」
……。
……………。
…………………それ、逆効果だって気付いてんのかこいつ。
「…わざとか、それ」
まずい。
さっき微かに感じた欲が、確かなものに変わる。
こいつを怖がらせたくないと思う気持ちは強いのに、快楽にあられもなく溺れる姿なら見たいと思う。
その上擦った声も潤んだ目も、加虐心みたいなものを駆り立てる。
好きだから手に入れたい。
好きだから支配したい。
それに似た思い。
好きだから、苛めたくもなる。
………自分がMだとは思っちゃいないが、割とS思考だったのか、俺。
「わざとって何…っん、ッ」
啄むキスを何度も落としながら、段々と深いものに変えていく。
自覚ねぇなら諦めろ。
「待っ…ふ…ッ」
「…もう一回」
「へ?」
「まだ足りねぇ」
「えええ…!」
もっと感じたい。
もっと見ていたい。
尽きない欲を抑えられる理性は、もう今の俺には残っていなかったらしい。