My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
「やるなとは言わない。ただそういう恰好をする時は、俺が教団にいる時にしろ」
「あ…うん、わかった…って何してんの」
そういう意味での"却下"なら、納得できなくもない。
だけど納得する前に気になることが一つ。
言いながら、ユウの手が私の両手首にハンカチを巻き付けていたから。
そしてポケットから…あ。
あれ、私がプレゼントした髪紐だ。
…色々と擦り切れて、お世辞にも綺麗な髪紐とは言えなくなっちゃったけど。
それをハンカチの上からぐるぐると巻いて──…って。
え。何。
「えっと…何、してるの…?」
布越しだから痛くはないけど、結構な固さでぎゅっと一つに結ばれる髪紐。
結果、私の手首は一つに拘束されてしまった。
…………えっと…?
「言っただろ、俺の誕生日の望みだって」
「?」
うん、言ったけど…それとこれをする意味がわからない。
というか髪紐の使い方違うこれ。
髪を結ぶものですこれ。
意味がわかりません。
思わず目で問いかければ、ユウの長い指が私の額にトンと触れた。
「だからお前がプレゼントな」
………………は、い?
「………え、意味が…は?」
「わかんねぇなら考えてろ」
「なん──…わっ!」
一つにまとめられた手首を引っ張られて、思わず前に体が傾く。
だけど私の体は倒れることなく、大きな腕に抱き止められた。
「どうせすぐにわかるだろうけど」
抱き止めて距離の近付いた顔が、真っ直ぐに私を見下ろしていた。
その口角を上げて作った笑みは──…わ…なんか…凄く、嫌な予感がする笑顔。
強いて言うなら強いAKUMAと対峙した時のような、そんな好戦的な笑み。
………え、ちょっと待って。
まさか…いやいや、そんなまさか。
………まさか。