My important place【D.Gray-man】
第33章 Twin of a bond
「欲しいものが手に入らないもどかしさはわかるよ。そういう悔しさも。…でも望みがない訳じゃないでしょ」
私もあった。
喉から手が出る程に欲しいもの。
でも手に入らなかった。
どんなに望んだって泣いたって叫んだって、もう愛しい人達はこの世から消えていたから。
…それとこれとは違う。
ウィッグなんてどうにか頑張れば手に入るでしょ。
バイトでもなんでも、仕事を選ばなければお金を稼ぐ方法は幾らでもある。
「今は一瞬で手に入るかもしれないけれど、後で一生後悔するんだよ。そんな道を選んじゃ駄目」
真っ直ぐに二人を見て言えば、二人の目は更にぱちくりと瞬いて再びお互いを見合った。
…なんかいちいち行動がシンクロしてるというか…型は全然違うけど、まるで双子みたい。
「何この女。強盗って。バカなの? こいつバカ?」
「ヒヒ、おバカさんだね~♪」
「……ちょっと待て」
あ、ついに声に出してしまった。
いやだって、ね。もうね。
こんなまじまじと馬鹿言われたら言い返したくもなるでしょ。
神田にもよく馬鹿馬鹿言われるけど、私そんな馬鹿じゃないから! 多分!
「デロ達、後悔なんてしな~いよ♪」
「オレ達はオレ達の好きに生きんだよ。他人に妨げられるなんてごめんだ」
お互いの銃を持った腕を交差させて、ガチャリと銃口を向けたのは──…え。
…お互いの頭?
「それに誰が強盗なんてやるか。そんな面倒臭ェこと」
「そーそー! "騙しメガネ"の方がもっと早くて楽チンだよっ」
「騙し眼鏡?…って待って待って!」
意味不明な言葉に思わずツッコんでしまったけど、それどころじゃない。
お互いの頭に銃口を向け合うなんて、そんな危ないことしないの!