My important place【D.Gray-man】
第33章 Twin of a bond
「…あの、」
「ヒ?」
「あん?」
仕方ないと、意を決して声をかける。
堂々と強盗しようとしてる未成年ファンキー二人組を、黙って見過ごす訳にはいかない。
相手は拳銃装備の二人組だけど、未成年だし。
ついでになんだか頭も年相応に幼そうだし。
一般人相手なら、どうにか私一人でも押さえられるかも。
「ウィッグ一つで人生を棒に振っちゃ駄目だよ。お金は働けば手に入るものだし。そんなもの使わなくても、買う方法は幾らでもあるから」
そんなもの、と言って二人が手にしている銃を見る。
すると二人の目はぱちくりと私を見て。
それからお互いをぱちくりと見合っ──
「ギャハハハ! 何言ってんだコイツ!」
「ヒヒーッ! 人生を棒にってナニ! 人生は棒じゃないけどーッ!」
…ちょっと待て。
なんで人生の過ちを止めようとしている私が、盛大に笑われなきゃいけないの。
というか人生を棒に振るって言葉知らないの。
頭大丈夫ですか、ジャスデロ君。
「ただの人間が偉そうにお説教してくんじゃねェよ!」
「そーそー! どっか行けーッ」
「……」
ただの人間って、貴方達も人間でしょう。
頭大丈夫ですか、デビット君。
「…強盗なんてしないって約束するなら」
ひくりと口元を引き攣らせつつも、なんとかにっこり笑顔を作ってみせる。
駄目だ、ここで怒ったりしたら。
相手は子供、相手は年下。
強盗を説得するには、まずは相手の気持ちになって共感してあげないと。