My important place【D.Gray-man】
第33章 Twin of a bond
「欲しいのか? これ」
「うん…ううんっ」
「どっちだよ」
頷きかけた頭を、慌ててふるふると横に振る。
訝し気に見るデビットという名の黒髪少年に、ジャスデロはつんつんと両手の人差し指をつつき合わせた。
「…だってコレ、高いんだもん」
「どれどれ…うっわ高! なんだこの値段、ぼったくりじゃねェの!?」
「ヒ~…だからいいよ」
ぎゃいぎゃいと声を荒げるデビットを、おずおずと宥めるジャスデロ。
…うん、なんだろう。
年齢はアレンやリナリーと然程変わらなそうだけど…中身が随分と年相応というか、子供っぽい。
アレン達が大人びている分、余計にそう見えるのかもしれない。
……。
…ま、関係ないけど。
「えっと、確かラデュレっていうお店だったっけ…」
名前を思い出しながら街中に再度目を向ける。
早く皆の所に戻らなきゃ。
「帰ろ、デビット」
「…いや。これ持って帰ろうぜ」
「ヒ? でもデロ達のお金じゃ足りないよ」
「バーカ。金なんてなくても手に入んだろ?」
……。
…………えっと。
なんか聞いちゃいけない話を聞いてしまったような気が…。
「"これ"使えばいーんだし」
「あ」
思わず足を止めて振り返る。
見えたのは、ニッと笑いながら懐から一丁の拳銃を取り出すデビット少年。
その言葉がどんな意味を成しているのか。深く考えなくても、悪い意味だということは一目瞭然だった。
………どうしよう。
見ちゃいけないものを見てしまった気が…。
「ヒッそうだった♪」
習うように同じく懐から拳銃を取り出すジャスデロに、もう見て見ぬフリはできなかった。
駄目だ、あの子達多分強盗でもする気だ。
ウィッグ欲しさに強盗って…今時のファンキー少年は怖いな。