My important place【D.Gray-man】
第25章 ノア メモリー
「身ぐるみ全部剥がされてたところを、アレンがイカサマ博打で全部取り返したんさ」
「流石アレン…ってノアと博打って。なんで普通に遊んでるの」
「そん時は普通の人間だと思ってたんさ。ノア特有の褐色肌とか聖痕とか、そういうもんをあいつ隠してたから」
「へぇ」
そうなんだ、それも初耳。
そうやって普通の人に化けられるなら、もしかしたら私もできるのかな。
もしそうやって周囲の目を誤魔化せるなら、例えノア化しても黙っていればバレないんじゃ…。
いいことを聞いたかもしれない。
ノアになったからって絶対に教団の敵にならなきゃいけない訳じゃない。
私の軸がぶれなければ、きっと教団側で働いていられる。
普通のファインダーとして生きていけばいいんだし。
だってこの目の前にいるラビや、チャオジーや、他のエクソシスト皆を敵視する理由なんてどこにもない。
ノアのことを隠し続けるなんて、皆を騙すようで後ろめたいけど。
悪気があってする訳じゃないし。
それで神田の隣に、変わらずにいられるなら。
「その列車で会ったノアは、本当に人間と変わらなかったの?」
「ってか人間そのものだったさ。あいつの性格が人間臭いってのも一つあるけど。ノアって言っても元々は人間だからなー」
「…そっか」
うん…そうだよね。
何気ないラビの言葉に、心の内側が少しだけほっとした。
ノアだなんだ言ったって、元は皆と同じ人間なんだから。
「でも敵っスよ」
不意に響いた声は、少し離れた所から。
「ノアはAKUMAと同じ、倒すべき存在っス」
其処には低い声で呟くチャオジーがいた。
「アニタ様や皆を殺したAKUMAの仲間なんスから…」
その目には強い意志のようなものが見える。
家族同然だったアニタさん達を殺されたんだから、それは仕方のないことなのかもしれない。
「そんなの人間じゃない」
それでも人が変わったように冷たく否定するチャオジーに、思わず息を呑んだ。
まるで私自身に言われているようだったから。