My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「……」
思い返せば、私個人を見て評価されたことってあったっけ…。
クロス元帥だって、私に目を止めたと言うより、私の父がエクソシストだから目を止めてくれたような気がする。
コムイ室長と腹を割って話せたのも、私がノアだとわかったのがきっかけだった。
…そうして考えれば考える程、負の思考ばかり回って、余計に沈んでしまう自分がいた。
「それで、神田と何かあったのか?」
「…ううん。特には…」
「本当かぁ? 何かあったら遠慮なく言えよ」
「文句なら聞いてやるぞ、喜んで」
「うん」
何かあったのかと言えば、あった。
けれど、ユウと距離はあるけど…話せていない訳じゃないから。
挨拶や連絡事項くらいなら、最低限言葉を交わせてる。
ただあのリヴァプールでの一件以来、外勤からは暫く外されてるからずっと教団内にこもっての仕事で、ユウとの接点も減ったけど。
…ユウも、最低限にしか言葉を交わさないから…何を考えているのか、未だによくわからない。
改善したいなら、どちらかが踏み出さなきゃいけないことだと思う。
でも、先に踏み出してくれたユウを拒否したのは私だし…でも、あの時は体が薬の影響でしっかり話せる状態でもなかったし…それをユウも知ってたはずなのに。
なんで、あんなことをしてきたんだろう。
意思を交えて話をするのは大事なことだと思うけれど、状況やタイミングも必要だ。
あのリヴァプールの小さなホテルで起きたことは、お互いに色んな意思やタイミングがずれてしまっていた気がする。
…話し合えば、それは元に戻せるものなのかもしれないけれど…もし、戻らないものだとしたら。
まだ、そこまで踏み入る勇気が私にはない。
ユウの存在で成り立っている自分という駒に、不信感が募って。
ユウの思いも見えないから、恐怖心も湧いて。
そういう時は距離を置いたらいいと、言われたから。
「…?」
あれ…そういえば誰に言われたんだっけ?
親身に話を聞いて助言をくれたのは、誰だっただろう。