第49章 つむぎ星に願いを

「なんでそうなるわけっ？　落ち着いて皆ストップ！」

「これが落ち着いてられるかよッ」

「つまり気持ちもねぇのに抱かれたってことだろ？」

「よしぶっコロ」

「ち…っ」


　違う！
　と言いたいけど言えない…！

　だって最後にユウに抱かれた時、本当にその心が見えなくて。
　私への欲も好意も何も感じなかった。

　何か私に向けた思いはあったはず。
　ただそれは苛立ちや怒りだったのかもしれない。
　そんな思いで男の人は行為に及べるのか。
　それがなんとなく知りたくて聞いただけなのに。

　だから、大騒ぎしたい訳じゃないの…ッ


「いいから、とにかく落ち着いて。騒ぎたい訳じゃないの。お願い…っ」


　両手を合わせて頼み込む。
　すると渋々とも、皆はようやく気を静めてくれた。


「雪がそう言うなら、仕方ねぇな…今回だけだぞ」

「でも何かあったらすぐに言えよ」

「オレ達は雪の味方だからなっ」

「…うん。ありがとう」


　その気持ちは純粋に嬉しかった。
　エクソシストの中でも特別な存在であるユウじゃなく、ただのファインダーである私を無条件に選んでくれた皆の意志が。
　私は、ユウの為に生かされてる駒じゃない。
　そう思わせてくれるようで。


「あいつには長年痛い目に合わされてきたからなぁ」

「雪がDVの証拠でも集めてくれりゃあ、一気に形勢逆転できるんだがな」

「そのときゃ皆でデモ起こして、室長に抗議しに行こうぜッ」

「お、いいなそれ」

「雪も参加なっ」

「う、うん…」


　…そう、思いたいんだけど…。

　楽しげに話題に花を咲かす皆の口から出てくるのは、当然のようにユウの名前で。
　良くも悪くも、仲間内でもユウの存在はやっぱり大きいものなんだと思い知らされた。

　私を親身に思ってくれるのも…結局はユウの存在があるからで。
　…もし、私がユウのバディのような存在じゃなかったら…こんなふうに皆は、私の心配をしたり、励ましてくれたりしたのかな…。





『君の周りに寄ってくる者達は？　君だけを求めていたかい？　君の隣に神田ユウがいたからではないのかな』





　あのノアが言っていたように、私の教団(ここ)での立場は、良くも悪くもユウの存在が大きくて。
　もしユウがいなかったら…私は……