My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「どうもこうも…知らないよ、そんなの…」
「知らないなんて、そんなことあるめぇよ」
「お前は神田の女に成り下がっちまったんだろ?」
成り下がったって何。
なんでユウの女になることがそんなに悪いことなの。
「あーあ、オレ達の雪がなぁ…まさか神田のモンになっちまうとは…未だに信じられねぇ時あるもんな」
「オレらと同じファインダー野郎でも納得いかねぇってのに、よりにもよって相手があの神田だもんな」
「雪も神田の毒牙に掛かっちまったんだよ…美形が世の正義かってんだよコノヤロー」
まるで酒の席にでもなっているかのように、各々肩を下げて愚痴を零す仲間達。
いや…うん。
その気持ちはわかるけどね。
美形が正義なんて、世界が引っくり返っても思わないけどね。
そうやって、まるで身内のように私のことを心配してくれる皆に囲まれていると…なんだか、ほっとした。
私がノアだってことを知らないことが、勿論大きいのはわかってる。
それでも微塵も変わらない仲間に囲まれていると、私も何も変わっていないように思えて。
「…ね、ねぇ」
なんとなく。
皆になら愚痴ってもいいかなって、思えた。
「男の人としての意見が、聞きたいんだけど」
「あん?」
「なんだ?」
「どした急に」
「皆はよくAVとかオカズの話をするけどさ…本当に女の人を抱く時って、さ」
こんなことを聞けたのは、普段から卑猥で下品な話を当然のようにしている間柄だったからかもしれない。
「男の人って、気持ちがなくても抱けるものなの?」
よく男女の体の造りが根本から違うから、性に対しての反応も男女で違うなんて聞くけど。
男の人って、相手が誰であっても抱けるものなのかな……例えば、本当に好きじゃない相手、でも。
恐る恐る問えば、何故か皆一斉に黙り込んだ。
眉間にくっきりと溝を作っ…怖いけどその顔。
私、変なこと言ったかな…このくらいの卑談なら、よくしてなかったっけ?
「どうしたの、みん」
「神田の野郎」
「よしコロス」
「ちょっと締めてくるわ」
「ええっ!?」
かと思えば、各々席を立ちドスの効いた声でユウを捜…待って待って!
喧嘩なんて売りに行かないで、逆に皆が殺されるから!
というか今は本当にやめて欲しい!