My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「…ワイズリーって…ロードみたい、だね」
「む? ロードか?」
ワタシの腕の中で、ぽつりと漏らした雪の名が意外で目を向ける。
「見た目より包容力ある感じが。…私に兄がいたら、こんな感じだったのかなって、思いたくなる」
見た目よりとは聞き捨てならないが、浮かべた雪の表情が哀愁混じる笑顔で否定することはできなかった。
主は本当に、"家族"に憧れておるのだのう…。
「ロードは長子であるし、ワタシも前世の記憶を持ち得た魔眼だ。姉や兄と慕っても可笑しくはない」
「…何を言ってるのかちょっとわからないんだけど」
「わからずともよい。ほれ、今はワタシの胸を貸してやろう。たんと甘えるがよい」
「わふっ」
抱き込んで頭を掻き撫でてやる。
主の髪は肌触りが良いのう。
わしゃわしゃと撫で続ければ、抵抗するように呻るものの雪の体は離れなかった。
「ほれほれ。頑張ったのう〜。しかし御主は頑張り過ぎるところがあるからのう〜」
「ぅ…何それ…っ」
「此処にはワタシしかおらんからの〜。人目はないぞ、気にするな」
「気にするって、何を」
「主を腫れ物のように見る者など、いないということだ」
「っ…なに、それ」
背中をあやすように擦れば、抵抗が尚弱まる。
「主は可愛い可愛いワタシの妹だ。遠慮する理由など何処にある?」
既に"怒"のノア以外は皆覚醒している。
その序列でいけば、雪はノアの末っ子だ。
多少手間は掛かるが、その手間さえも愛おしい我が妹よ。