My important place【D.Gray-man】
第48章 フェイク・ラバー
「ノアがそうだったからって…ユウは、私じゃなく敵を信じるの?」
「…可能性を言」
「可能性なんてないよ。私はノアと内通なんてしてないッ」
それは何度も主張してきたことだ。
黒の教団の中で生きていく為に。
コムイに今までの己の事情を伝える際に、洗い浚い話す中で何度も必死に伝えた。
ノアとして敵になるつもりはない。
ノアとは誰とも内通はしていない。
それをコムイが理解して飲み込んでくれたからこそ、ノアメモリー保持者としてでも教団の為に生きていられている。
神田ユウの為に生きていられている。
"だってそうだろう?他者の為にしか生きられないなんて。自分の幸せが見つけられない者の、ただの責任転換だ"
勢いで吐き出し俯いたまま、雪は木目の床を見る目を見開いた。
"なんとも滑稽で哀れな生き方だと思うよ"
可哀相に、と何度も同情された。
優しくも棘ある言葉で諭された。
朧気な記憶の中で、切り取ったかのようにはっきりと雪の中に落ちてきた見知らぬノアの声。
"神田ユウにとって君は、人生の"通過点"なんだよ"
鵜呑みにする気などなかった。
なのにその声が冷えた心を覆う。
自分は、エクソシストではない。
神田の追い求めている女性ではない。
彼がもしあの人を見つけ出してしまえば、その先は。
「…わたし、は…」
(誰かの、代わりなの?)
言葉になんてできるはずもなかった。