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My important place【D.Gray-man】

第48章 フェイク・ラバー



「───本当に何も要らない?」

「うん。あんまり食欲ないから」

「そう…じゃあ何か欲しくなったら遠慮なく無線飛ばして。持ってくるから。飲み物は?」

「ぁ…じゃあ、冷えたお水が欲しい、かな」

「水かい?それなら僕らが」

「いいから貴方達も出るの!早く!」

「イダダ!痛いって!」

「この少女見た目によらず暴力的…!」



リナリーに耳を引っ張られ部屋を出ていくフレッドとジョージを、苦笑混じりに見送る。
結局、情報と今後の予定を聞いただけで再び雪は安静となった。
そう結論付けたのはリナリー自身だ。



「冷えたお水ね、後で持ってくるから。部屋を出た隣がシャワールームだから自由に使って。現場の後始末は全部ダンブルドアさんがやってくれてるから、気にせず雪は休んでね」

「うん。ありがとう」



テキパキと告げて去っていくリナリーがドアを閉じれば、静寂が訪れる。
その場に残されたのはベッドの上の雪と、ダンブルドアが残した愛鳥フォークス。
ティムキャンピーとくろすけも残りたがったが、まだ任務中だからとリナリーの手により追い出された。



(そうだよ。まだ任務中なのに)



仕事中の身だと言うのに、まるで重度の怪我人のような扱いを受けている。
怪我自体は魔法のお陰で痛みと共に取り払われた。
それでもフレッドの前で不甲斐ない反応を見せてしまったのは、精神面の所為ではない。



(まだ残ってるなんて…そういえば原液を打ったって言ってたっけ…)



反応してしまったのは、体に打ち込まれた薬の所為だった。
その為、何気なく触れられた人の肌に、体は勝手に反応した。
AKUMAの競売で意図的な意味を持って体を触れられた時に比べれば、まだ幾分落ち着いただろう。
それでもじんわりと体の底に残っている僅かな"熱"に、雪は固く目を瞑った。

しかし意識を逸らそうとしても体が疼くと思い出してしまう。
気味の悪いAKUMAの触手のようなもので体を弄られた不快感。

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