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My important place【D.Gray-man】

第48章 フェイク・ラバー












───声が聴こえた










"ぇ…!…ッ…だ…!"










遠くで誰かが何かを叫んでいる









"は…も…ッ…ダ…!"









誰かを呼んでいる








"ゆ…っ…て…!"








誰かの、名前を







"ッ…!カ…ダ…!"







嗚呼、それなら







"カンダ…ッ!"






そのひとの名前なら




















まだ、呼ぶことができる





















「……ゅ…ぅ…」

「───!」



掠れた声が鳴く。
轟音の中でも、確かに神田の耳に届いた小さな小さなか細い声。

体を突き刺すような痛みが和らぐ。
抱き込んでいた体を僅かにずらして、伺った先。

あの日と同じ。
眩い光を放っていた金の眼を、暗い本来の瞳の色へと静めていく雪の姿が其処にはあった。
もう焦点は彷徨っていない。
その目は確かに神田を映していた。

眩い光が落ちていく。
轟音が静まっていく。

沈静化を見せる雪の体が、力無く神田に縋る。
再度耳元へと寄せた唇は、喉を焼いて掠れた声を届けさせた。






「    」






神田にしか聴こえない、小さな小さな吐息。
ぽそりと告げられた言葉に、神田はその場から一歩も動くことなく。

ただ、息を呑んだ。










「(今だ!)ッ…"縛"!」



口に札を咥えたトクサが言霊を吐けば、雪の首のイノセンスが色を変えた。
真っ白に光輝いていた小さな十字架が鈍く光る。



「ぁッ…!」

「雪ッ!」



じゅう、と皮膚を焼く音。
首を押さえて体を戦慄かせる雪に、大量の札が覆うようにして張り付いた。



「邪魔をしないで下さい!ノアの力を静めます!」



倒れ込む雪の体を、咄嗟に神田の腕が支える。
その腕の中で見る間に札へと覆われた雪は、大きく見開いた目元さえも覆われてしまった。

目と口と耳と手足と。
感覚を奪うようにして縛り付ける札に、戦慄いていた体が徐々に動きを弱める。
周りを渦巻いていた膨大なエネルギー体は、既に姿を消していた。

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