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My important place【D.Gray-man】

第48章 フェイク・ラバー



「それはテメェの体じゃなく敵の体を縛る為のもんだ」



しっかりと繋がった鎖を握る。



「憶えとけ」



貫いていた六幻を引き抜く。
同時に握った鎖を強く手繰り寄せれば、雪の体は簡単に持ち上げられた。
不安定に揺れる体が傾いたのは、広げた神田の腕の中。
倒れるように落ちてくる雪の体を、しかと神田の腕が抱きとめた。

しかし肌と肌が触れ合えば、バチンッ!とそこに強い衝撃が生まれた。
雪に触れるもの全てを敵と見做したノアの力が、神田の体を焼き焦がす。



「ッ…逃がすか、よ」



ようやく触れることができたのだ。
手放す気など到底ない。
互いの体を繋げた鎖を握ったまま、尚も強く神田は目の前の体を抱き込んだ。



「さっさと起きろ愚図…じゃねぇと、このまま抱き潰すぞ」



眩い雷のような光と轟音の中で、神田の声は雪へと届いているのだろうか。
反応を示さない雪の体は、ぴくりとも動かない。
それでも放出し続けるエネルギーに、神田の纏っていたドレスは焼き切れ、肌は赤黒く焦がされていく。



「エ、エピスキー!」

「駄目だフレッド!回復魔法が追い付いてない!」

「そんなこと言ったって他にどうすれば…!このままじゃカンダが焼け死ぬぞ!」

「ッ…問題はユキだ。よくわからないけど、なんらかの力が暴走して自我を失っているんだッそれなら…!」



問題視するのは神田ではなく雪。
その答えに辿り着いた二人の目線が重なり合う。

ダンブルドアは"彼の手助けを"と二人に頼んだ。
補助すべき相手は神田だとしても、真に助けるべき相手は彼ではない。

助けるべきは、雪。
ならばそこに向けるべき魔法は一つ。

リヴァプール大聖堂の中心で、膨大なエネルギーが幾重も放出されながら圧縮していく。
そんな高密度の空間の中で、重なる二つの人影を見据える。

交わす言葉もなく、フレッドとジョージは同時に杖を振り上げた。










「「"エネルベート"!!!」」

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