My important place【D.Gray-man】
第48章 フェイク・ラバー
「次から次へと邪魔者が出てくるね。全く」
厄介だと言わんばかりの顔で呟く額に聖痕を刻んだ男は、ティキの仲間であるノアの一族なのだろう。
「邪魔者は貴方です。痛い目にあいたくなければ、即刻この場を立ち去りなさい」
「カンダ、あの人は僕らの仲間だから手を出すなよ」
「マクゴナガル先生!」
双子が呼ぶマクゴナガルという女性は、杖を持っているところ魔法界の住人なのだろう。
すばやく事態を把握する神田の目は、依然雪を捉えたまま。
「ぁぁ…ぁ…っ」
「っ…雪!」
纏うエネルギーを徐々に膨らませていく不安定な姿に、堪らずその名を呼んだ。
「成程。あの青年ならば可能性はあるかもしれんのう…フレッド。ジョージ」
「なん…ワオ。校長も此処に?」
「マクゴナガル先生がいればそうだよな…」
「彼が雪の力になれると践んで、連れて来てくれたのじゃろう?彼女は半ば暴走しておる。それを止める手助けをしておくれ」
「ぁあああ…!」
雪の叫びが膨張すれば、比例するように体から迸るエネルギーが稲妻のように蒼白い尾を靡かせ壁や床を破壊する。
「儂はこちらで手が掛かっておるからのう」
杖をひと振り。
無言呪文で老人が薄い半透明な幕を大聖堂に張り巡らしていく。
それは負傷しているトクサやリッチモンドも覆っていった。
見えない魔法に守られて、雪の稲妻は破壊する対象物を無くし空中を走り回る。
「流石ダンブルドア先生」
「でもユキがまずいことになってるぞ」
どうやら老人もまた双子と同類の、魔法界の住人らしい。
しかしそんなことを頭の隅にも置く間もなく、神田は六幻を握った手を顔の前に翳しながら踏み出した。
「雪!返事しろ!」
「ぁ、あ…ッ」
「雪!」
神田の声に反応を示したのは、雪ではなく渦巻くエネルギー体だった。
「危ない!」
「"プロテゴ"!」
一斉に神田を襲う稲妻に、咄嗟にジョージが杖を振る。
魔力と衝突した稲妻は弾かれたが、雪の体からエネルギーは放出され続けている。
渦を巻き雪を中心に覆っている為、それを一掃しなければ雪自身に触れることもできない。