My important place【D.Gray-man】
第48章 フェイク・ラバー
反応したのは神田だけではなかった。
咄嗟にティキが阻むように六幻を握り締める。
しかしその握力より一寸早く、六幻を引き抜くと神田は誘われるままに双子へと手を伸ばした。
「させるか、よッ!」
ティキの感情を読み取ったかのように、彼の体から多数のティーズが飛び出してくる。
しかし神田に触れる前に、それらは全てアレンのマントから伸びた白い触手のような"道化ノ帯(クラウンベルト)"で叩き落とされた。
「行って下さい神田!」
「っ邪魔するなよ少年…!」
「お断りします、雪さんが絡んでるなら特に!」
腕を掴んだフレッドとジョージの力で、神田の体がふわりと宙に浮く。
「あの少年、やるな」
「僕らの見せ場取られた感じするよな」
「…お前ら、なんで」
「ん?あ、ユキの居場所?」
「君を見ていればわかったよ、目の色が変わったからね」
夜空へと舞い上がる箒が二組。
「にしても安心した。カンダは、我らが同盟仲間をちゃんと想ってくれてるようでさ」
「君は関係ないって言うけど、僕らにとってもユキの安否は見過ごせないんだ」
多少ふらつきながらも、絶妙にバランスを取りながら方角を定める。
「チャンバラの続きは、まずはユキを見つけ出してからだ」
「しっかり掴まってなよ!」
一直線に向かうは、遠目からでも存在感を放つ建築物───リヴァプール大聖堂。