My important place【D.Gray-man】
第48章 フェイク・ラバー
「アレン君!」
「リナリーはクロウリーの援護をお願いできますか?僕はあれを相手します」
同じくイノセンスであるダークブーツを発動させたリナリーが、戦闘態勢で現れる。
しかし神田が開けた外壁の穴の中からではなく、大きな硝子窓から飛び降りてくるところ、フレッドとジョージの騒ぎに気付いたのだろう。
「あっちの方が面倒臭そうなので」
「よぉ少年。相手したいのは山々だけど、俺も取り込み中なんだよね…」
この怖い顔のお姉さんと、と付け足すティキに、首に添えられていた六幻の刃が押し付けられる。
「あ?」
「痛い痛い痛い。それ以上やったら大事な動脈が切れるから」
「安心しろ、首ごとぶった斬ってやる」
「それは勘弁」
胸と口から鮮血を垂らしながらも、六幻の刃をティキの手が握り込む。
傷付けられることに恐れがないのか、ぶしりと掌から尚も鮮血を流しながら力で押し返した。
「ったく、戦んのは楽しいけどさ…どうしてもセカンドくんには此処で死んで欲しいんだよ」
「だったらテメェの命を差し出す気で来い」
「っは…言うね」
六幻の柄に力を加える神田に、ぐぐっと刃が更にティキの手を引き裂く。
このままでは簡単に斬り落とされ兼ねないティキの掌が、褐色から更に濃い色へと変貌していく。
漆黒に近い色で濃く肌を染めれば染める程、六幻の刃は皮膚を裂けなくなった。
「神田!危険だ下がって!」
見覚えのあるティキの姿にアレンが警告を入れた時、それより早く滑空するものが二人に迫った。
「カンダ!手を!」
「僕らに頼んだのはそいつと遊ぶ為じゃないだろ!?」
「うわっ!?なん…フレッドとジョージ!?」
頭を引っ込めるアレンの上を通り過ぎて、叫んだ双子が伸ばした手は神田へと。
「「ユキの所に行くぞ!」」
その名に反応を示す。