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My important place【D.Gray-man】

第48章 フェイク・ラバー



「もうちょいで心臓抉り出せたのに。惜しかったなぁ」

「ハ…テメェが鈍間なんだろ…」

「言うね。でも心臓の一部は握り潰せたけど。お陰で俺の手袋汚れたけどね…」



嫌そうな顔で振るティキの左手には、どす黒い血液が付着している。
ドレスも肌も貫通したティキの手は、易々と神田の心臓へと手を伸ばした。
間一髪回避した神田だったが無傷ではいられず。
見た目には深い傷を負っているようには見えないが、体内にその痕跡はしかと残っている。



「心臓の機能が一部停止しても立ってられるなんて、やっぱセカンドくん人間じゃないね」

「…煩ぇ」



チキリと構える二本の六幻刀。
口の中に溜まった血を吐き捨てると、神田の瞳の奥に紋様が浮かんだ。



「禁忌"三幻式"」



ぼそりと唱えると、急激に神田から放出する威圧が増す。

セカンドエクソシストである故に、体は損傷しても自動再生する。
しかし"命の残量"が再生を繰り返す度に減っていくかのように、徐々に回復速度は遅くなっていた。
昔ならすぐに治癒した心臓の一部は、まだ壊れたままだ。
そう長く戦闘は続けられない。



「いいね、最後の足掻きってやつ?面白い姿を見せてくれよ」

「ほざけ…ッ」



手負いだと言うのに、格段に速度が上がった神田の六幻がティキの腕のティーズと火花を散らした。
尚も笑みを称えるティキだったが、ぴしぴしと硬度の強い盾のティーズに罅が入ると目を見張る。
速度だけではなく、攻撃力も格段に増加していた。



「さっさと道を開けろ…!」



カッと六幻の刃が青白く光る。



「"爆魄斬"!」



至近距離で刃の斬激が爆破を起こした。
爆音と共に爆撃が襲ったのは、ティキだけではない。
彼の背後にあったドア諸共、空間を吹き飛ばしたのだ。



「! 今だ、そいつらを連れて退け!」

「ですが…ッ」

「人命が先だ!」

「わかりましたわ…ッ」



ドアを破壊し壁を貫通した斬激に、天井を立ち込めていた炎の煙が風に任せて流れ出ていく。
クロウリーの剣幕に渋々とテワクも頷くと、薬で動けない奴隷の人間達を何人も担ぎ上げた。



「加勢を呼びますわ!それまで足止めなさいな!」

「加勢だァ?それならオレらだって───…オイ」

「ヒ?」

「そういやシェリルはどーした」

「アレ?…いないネ」

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