My important place【D.Gray-man】
第47章 リヴァプールの婦人
他人同盟は組んだものの、色々と互いに身バレしているような状況。
飄々と笑う双子に、雪は半ば諦めの表情を浮かべた。
「頑なに隠してる訳でもないしね…でも本当に命を落とされたら堪らないから、下手に顔突っ込まないでよ?」
「へぇ、優しいこと言うんだな」
「ユキのそういうところ、結構好きだよ」
「もう、大事なことなんだから。茶化さないでちゃんと聞く!」
「別に茶化してなんかいないって」
「そうさ、僕らは本当のこ───」
ズドンッ!
弾丸のような衝撃音は突如として訪れた。
笑う双子の頭上を飛んでいたティムキャンピーに衝突する黒い何か。
何事かと一斉に向く雪達の目に映ったのは、めり込む程に金色ボディに体当たりをかましたつるりと黒く丸い影。
「(あれは…っ)くろすけ!」
ティムキャンピーより幾分小さな丸いボディの通信ゴーレム。
雪が軽い気持ちで命名すれば、すっかりその名を気に入った神田のゴーレムだった。
「ガァアッ!」
『ピーピー!』
衝突の衝撃で煙を上げながら威嚇し合う二匹のゴーレム。
甲高い声で鳴く通称"くろすけ"に、もしやと雪が予感した時。
ふ、と視界に影が差し込んだ。
「あだッ!?」
「確保」
ずだん、とフレッドの体が真正面から地面に衝突する。
背中に膝を乗せ腕を捻りながら押さえ付けているのは、ゴーレム同様弾丸のように現れた神田だった。
「何す…っ」
「一歩でも動いてみろ、斬るぞ」
駆け寄ろうとしたジョージの首に、間髪入れずぴたりと黒い刃物が向けられる。
擦れ擦れで皮膚に触れている切っ先に、流石にジョージも足を止めた。
「良かった、雪さん…!」
神田と行動を共にしていたのか、立て続けに後を追い現れたのはアレンだった。
雪が見上げていたリヴァー・ビルの屋根から飛び降り着地すると、ほっとした表情を見せる。
ピアヘッドに戻ると連絡を入れて此処に来るまで、そう時間は経過していないはず。
近くで探索でもしていたのだろうか。