My important place【D.Gray-man】
第47章 リヴァプールの婦人
「何?私間違ったこと言った?」
「言ってないさ」
「ああ言ってないともさ」
確かに雪は本当のことしか言わなかった。
それを別のものと解釈し納得したのはハグリッド達で、決して雪は自分から双子と出会ったのはホグワーツ内とは言っていない。
「だけどよく蛙チョコのことに気付けたな」
「あのことは話してないはずなのに」
「ああ、あれ。フレッドが持ってたあの箱を見てね」
レジカウンターに置かれた五角形の箱。
それを指差す雪にフレッドが蓋を開けると、中には見覚えのある泥に塗れた蛙が一匹。
否、つるりとした茶系の光沢は蛙の皮膚ではなくチョコレートのもの。
魔法により生きたように動き鳴くが、その正体は甘い甘い菓子なのだ。
「やっぱり。あの箱、ハリポタの話にも出てたから」
うんと頷く雪に顔を見合わせると、やがて完敗とばかりに双子は緩く両手を上げた。
「流石ポッタリアンユキ。その名は伊達じゃないな」
「参ったよ、ポッタリアンユキ」
「そんな名前掲げてる気はないんだけど……なら教えてくれる?」
「何をだい」
「ハーマイオニーが言っていた"あの"事件のこと」
「「………」」
「言わなくても大体は察したけど。だから二人共リヴァプールにいたんでしょ」
腕を組み告げてくる雪の推理に、再び双子は顔を見合わせる。
どうやら巨人と少女には勘付かれなかったが、目の前の素知らぬ彼女には色々と暴かれてしまったようだ。
「リッチモンド邸にいたのもそれが理由なら、私も無関係ではいられないから。仕事に関わるなら知っておく必要がある」
「それは、いのせんすって言うものが仕事なのかい?」
「………」
「お互いに大事なところはだんまりか。でも僕らも薄々察したよ」
「ユキはまだあの屋敷に用があるんだろ」
腹の探り合いなどしたくはなかったが、双子も容易には事の真相を教えてくれないらしい。
「あるって言ったら?」
「奇遇だな、僕らもだよ」
「…ハーマイオニー達が心配するよ」
「そうだね。でも"あれ"は僕らの失態でもある」
「ケジメをつけなきゃならないのさ。でないとホグワーツを辞めようにも辞められない」