My important place【D.Gray-man】
第47章 リヴァプールの婦人
「二度目は仕事中に偶然見掛けたから声を掛けて、それでジョージとも知り合ったの。間違ってないよね?」
「まぁ…ウン」
今度は話を振られたジョージが曖昧にも頷く。
「でもまさか二人がホグワーツ生だったなんて驚いたなぁ」
「ユキは学校には行っちょらんのか?」
「うん、行きたかったけどね。育ての親に許して貰えなくて」
「…そうか…」
「でも職場で勉学できる環境を与えて貰ったから、不自由な気はしてなかったよ。ホグワーツには憧れてたけど」
そう笑う雪に対し、ハグリッドは何か思うところがあるのか、段々と太い眉が下がっていく。
「その気持ちはオレにもよぉくわかる。だが生徒じゃないモンが勝手にホグワーツに入っちゃあいかん。今回は見逃してやるから、次は双子に乗せられてもついて行くんじゃないぞ」
「その言い方は心外だな、ハグリ」
「わかった。双子は厄介だよね」
「ユキまで!」
「お前さんとは気が合いそうだな。次ホグワーツに来る時はオレの所にでも遊びに来るといい。それなら校長も許して下さるだろう」
「本当?ありがとうハグリッドっ」
「……はぁ」
笑顔を交わすハグリッドと雪に、一連の様子を伺っていたハーマイオニーから漏れたのは深い溜息。
「わかった、もういい。軟派の件はロンには黙っておいてあげる」
「ちょっと待った。軟派?」
「どう聞いても軟派でしょ?いくら双子でも、それはどうかと思うけど」
「それってなんだい」
「二人で一人の女性を相手にすること」
「「………」」
女の敵を見るような目で突っ撥ねるハーマイオニーに、双子が同時にピシリと固まる。
その通りとばかりに頷くハグリッドの大きな影の中で、雪だけは思わず吹き出しそうになるのを一人耐えていた。
───カラン、カラン
立ち去る巨人と少女の姿が、ドアの曇り硝子に浮かぶ。
曇り硝子から人影が完全に消え去ったのを見計らうと、双子は大きく肩を下げた。
「全く、冷や冷やしたよ」
「危うく色んなことがバレるところだった。なぁ、」
「「ユキ?」」
振り返った双子の目が捉えた先は、笑いを抑えていた雪の姿。