My important place【D.Gray-man】
第47章 リヴァプールの婦人
やがて気を取り直すように、ハーマイオニーが今一度溜息を溢す。
「わかったわ、その言葉を信じてみる。でも一つ聞かせて」
「どうぞ」
「なんなりと」
「三日前、夜中消灯後に寮に戻る二人をネビルが見掛けたって言ってたんだけど。それは本当?」
「「………」」
流石抜け目のない性格らしい、ハーマイオニーの鋭い指摘に双子は沈黙を作ってしまった。
ネビルという者が誰かはわからなかったが、そこで雪は確信に至った。
恐らく彼女が心配することに、この双子は既に顔を突っ込んでいるのだ。
「ふーん。成程」
沈黙を破ったのは双子ではなく、その後ろに立っていた雪の声。
納得とばかりに頷く雪に、弾けるように向くは燃える赤毛が二つ。
今の今までのらりくらりと問題を躱すように笑顔を浮かべていた二人の顔が、雪を見て全く違うものへと変わっていた。
(おいユキ、馬鹿なことは言うなよ)
(そうだぞ、僕らの仲だろう?)
まるでそんな声が聞こえてきそうな顔だ。
見えない冷や汗を掻いているだろう、双子の視線を受けながら、雪は二人越しにハーマイオニーへと笑顔を向けた。
「三日前なら、知ってるよ。私が一緒にいたから」
「「!」」
「それ本当っ?」
「うん。誓ってもいい、嘘じゃない」
確かに嘘ではない。
三日前、雪はリッチモンド邸でジョージの捕獲に至っていたのだから。
「何処にいたの?」
「絵画が沢山ある所」
「絵画?」
「うん。後は、そうだなぁ…お城みたいに広い所。大理石の床に、大きなシャンデリア。ベルベッドの絨毯もあったっけ」
指折りながら説明する雪の言葉に、息を呑み見守る双子の視線が突き刺さる。
同じく疑わしそうな目を向けるハーマイオニーに対し、ハグリッドは違った。
「そりゃあホグワーツじゃねぇか。そうじゃなくてだな、」
「そう?でも私には初めての場所だったの。私、ホグワーツ学校の生徒じゃないし」
「なんてこった!それは本当か?」
「うん。二人とは最近知り合ったの。フレッドに街で声を掛けられて。あれは、蛙チョコを捕まえに来た時だったよね?」
「え?…まぁ、」
ね、と話を振られたフレッドが曖昧ながらも頷き返す。