My important place【D.Gray-man】
第47章 リヴァプールの婦人
「私はハーマイオニー・グレンジャー」
「月城雪。雪がファーストネームなの」
「ユキ?…ハグリッド、知ってる?」
「いんや。聞いたことねぇ名だ」
年齢に大きな差が見えるものの、どうやらこの少女と巨人のような山男は、親しい間柄らしい。
手を口元に当てて考えるように雪を見ながら、やがてハーマイオニーは首を横に振った。
「そんな名前の生徒、グリフィンドールにはいなかったはずだけど」
「フレッド。ハーマイオニーも探偵の末裔なのかな?」
「どちらかと言えば刑事に近いだろうな。ウム」
「二人の知り合いなの?」
「まぁ……多分?」
「多分ってなんだユキ、つれないなぁっ」
「僕らの仲じゃないかっ」
「どんな仲。そして掴まないでくれるかな痛い」
左右から両手を握ってくる双子に笑顔を向けつつも、雪の言葉は冷たい。
なんとも調子の良いことばかり言うこの双子に、わざわざ並んで付き合う気はない。
一刻も早く、神田達の下に戻らなければならないのだから。
(そうだ、AKUMA。結構な数いたみたいだけど、皆無事かな…)
AKUMAとの戦闘中に、突如姿を消してしまったのだ。
下手をすればAKUMAに殺られたと勘違いされても、可笑しくはない。
一度考え出すと不安が募る。
思わず握り拳を作り、木目の床へと雪が視線を落とした時だった。
『雪』
声がした。
聞き間違えるはずがない。
それは早く戻りたいと思っていた渦中の人───神田ユウの声。