My important place【D.Gray-man】
第47章 リヴァプールの婦人
「だからあの時、初めましてって…!どっちがどっちなのっ?」
「落ち着きたまえ。退いてくれたら説明するから」
「なんだ、お楽しみ中なら僕が席を外そうか?」
茶化すように笑いながら手にしていた箱を振る彼に、むすりと不服な表情を作る彼は、同じ顔でも性格に若干の差があるように見えた。
冗談だよ、とおどける紙袋の彼の言葉には雪も不服を申し立てたい。
渋々と馬乗りになっていた背から下りれば、肩を回しながらやれやれと腰を上げる。
そうして並ぶ青年二人は、背丈まで一寸も変わらない同じ高さ。
一卵性双生児なのか、並ぶと顔も瓜二つ。
見分けがつかないくらいにそっくりだった。
まるで鏡のようだ。
「退いたでしょ、説明して。貴方達、何者?」
アレンの左眼は青年をAKUMAと示さなかった。
となれば敵ではないのか。
しかし何故気付いたらこんな所にいたのか、目の前の二人に説明をして貰わないとわからない。
厳しい顔で促す雪に、二人の青年は目配せをすると綺麗に一礼してみせた。
寸分変わらぬ、鏡のように同じ動作で。
「僕はフレッド」
「僕はジョージ」
「「何処にでもいる普通の子供さ」」
息ぴったりに台詞まで合わせる様は、まるで予め練習していたかのようだ。
しかし自然体で行う二人に、そんな気配は微塵もない。
にっこりと同じ顔で笑う双子を前に、しかし雪の目は疑わしく視線を投げ付けた。
「普通の子供は急に知らない場所に移動できないし、私を見て逃げ出すようなことしないから」
「…ジョージ?」
「やむを得なかったんだ。変な生き物は出てくるし、ユキには追い掛けられるし」
「逃げ出すからでしょ、その…ジョージ、が」
「当たり」
「声までそっくりだから見分けがつかない…だから屋敷で会った時に、知らない顔してたんだ…」
「本当に知らなかったからね。でもまさかフレッドの知り合いだったなんて」
「ほとんど初対面さ。それよりジョージ、使ったのか?」
「…だから、やむを得なかったんだって」
腕組みをして覗き込むように問い掛けるフレッドに、ジョージは肩を竦めて首を横に振った。
「使ったって、何を?」
単純に疑問が浮かび雪が問い掛ければ、二人の目が同時に向く。