My important place【D.Gray-man】
第47章 リヴァプールの婦人
「もしかして一緒に行きたいの?」
「ニャア」
「…まじか…」
賢い猫だとは思っていたが、ここまで頭が回るとは。
何がどうしてそんなにこの屋敷に惹かれるのか。
わからなかったが、また此処で猫騒動を起こせば折角の好機を逃してしまう恐れもある。
「じゃあ約束して。勝手に飛び出さない・彷徨かない・人と喧嘩しない。私に抱っこされるのを原則として守れるなら、連れていってあげる。OK?」
「ニャアウ」
「後、爪も立てない。胸が痛いです」
「…ニャアー」
「よし良い子」
「猫と会話してる…」
「本当に通じてるんですかそれ」
人差し指を立てて提案すれば、すごすごと身を退いた猫は再び大人しく雪の胸に収まった。
果たして約束は守られるのだろうか。
リナリーやトクサ同様、リッチモンドの顔は信用ならぬと言ったものだ。
「と言うことで、私がしっかり捕まえておきますので。この子も同行していいですか?」
「そんなこと言われても、私は君達のことをよく知らないのだし。すぐに信用はできないんだがね」
「私達は黒の教団です。戦闘にも特化してます。猫を一匹確保しておくくらい、訳ないですよ」
「だとしても…」
「それに此処で放しても、また屋敷に戻る可能性があるのでは?同行許可を出して頂ければ、私が責任を持って飼い主さんに届けますので。お願いします」
「……やれやれ」
深い溜息一つ。
口元の髭を撫で付け、リッチモンドは肩を落とした。
どうやら交渉は成立したらしい。