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My important place【D.Gray-man】

第47章 リヴァプールの婦人



「テワクの頭に付けてるの、リボンだよね。じゃあこのリボン系とか気に入るんじゃない?」

「勝手に決め付けないで下さいませんっ?」

「そう?じゃあこの宝石辺りがいいのかな」

「そんなこと一言も言ってませんわ」

「あ、わかった。この動物型でしょ!可愛いタイプで───」

「それも違います!」

「じゃあどれ」

「これですの!」

(あるんだ)

(であるな)



雪に促されるままに、勢いでバンと目の前の出店の机を叩く。
テワクが主張したのは、アジア要素の入り混じった彫り物がされた腕輪が並ぶ棚。
うんと頷く雪とクロウリーに、はっと手を止めるも時既に遅し。



「これ、テワクが身に付けてる装飾にも似てるよね。似合うんじゃない?」

「ち、違…これは…」

「一度付けてみたらどうであるか?」

「わたくしは何も…っ」



雪とクロウリー。
二人に左右から覗き込まれ、テワクは動揺混じりに勢いを弱めた。
ほんのりと頬が赤いのは、羞恥が混じっているのだろうか。
先程までねちねちと嫌味を飛ばしていたトクサの咎める声も、リンクの制止の声も届いてこない。
視界の隅で雪が確認すれば、二人は大人しくテワクの様子を見守っていた。



「やれやれ…致し方ないですねぇ」

「全く…」



賛同している様子は見られないが、止めようともしない。



(リンクさんはわからないけど、トクサってテワクに優しいんだよね…あとキレドリにも)



監視される側として常に傍にいて気付いたこと。
雪に対して嫌味の多いトクサだが、仲間内であるサードにはその牙を向けない。
寧ろテワクやキレドリの髪型を整えたり、世話を焼く姿を見掛けたことが何度もある。
使徒嫌いだと主張していたトクサのことだ、嫌いな相手にははっきりと負の感情を示すが、本来は仲間思いの性格なのかもしれない。
そうして第三者目線で見れば、彼への感じ方も変わってくる。

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