My important place【D.Gray-man】
第47章 リヴァプールの婦人
コムイから命じられたリヴァプールでの任務は、AKUMA討伐とイノセンス探索の二つ。
エクソシストが足りていない現状、手早くこなす為にとまとめられた任務に狩り出される頻度は増していた。
AKUMA討伐には戦闘に特化した神田とアレンとクロウリー、そしてテワク。
イノセンス探索にはリナリーとトクサ。
監視役と共にサードとして教団に身を置いているトクサは、一戦闘員としても数えられる。
ファインダーという役柄ながらも中央庁の狗である雪もまた同じではあるが、今回は探索班として皆のサポートを行うことになっていた。
「大体、そんな陳腐な物に惹かれるなんて子供ですわね」
ふんっと顔を背けるテワクはどうやら、雪が見ていた出店の商品を貶しているらしい。
流石に店を前にしてそれはどうかと口を挟もうとした雪は、気付いてしまった。
(あれ?)
つんと顔は背けているものの、その目はちらちらと装飾品に向いていることに。
子供だと見下しながら、煌びやか愛らしい装飾品に目が向くところ、テワクも年頃の少女なのだろう。
思わず口元に笑みを浮かべそうになりながら、雪はテワクの下へと踏み出した。
「近くで見てみると綺麗だよ。テワクもどう?」
「は?急に何を言いますの、そんなことしてる時間は…」
「でもあそこ、お説教中だし。あれが終わるまではいいんじゃない?」
あそこ、と言って雪が指差した先にはタンコブを頭に抱えたアレンと神田。
「そうやって喧嘩するから、周りにも迷惑かけるでしょ」
「でもリナリー、これは神田が…」
「違ぇよ先にこいつ」
「口応えしない!」
「「ハイ」」
そして腰に片手を当てて、説教を飛ばしているリナリーの姿が。
すぐには終わらないだろう、その剣幕に流石のテワクも嫌味を言い放てなかった。
「ね、見てみようよ。テワク、お洒落するの好きでしょ?」
「な、何を…っ押さないでくれませんこと!?」
「そんなに強く押してないよー、怖くなーい怖くなーい」
「怖がってなどいませんわ!」
茶化せばすぐに張り合おうとするところは、未成年であるテワクの精神故か。
ぐいぐいと雪に背を押されるまま、小さな体は出店へと向かった。