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My important place【D.Gray-man】

第45章 10/31Halloween(番外編)



(これ、絶対要らないと思う…)



何故わざわざ銀で装飾品を造らなければならないのか。
更に元帥となれば、この装飾品は全て金へと変わるのだ。
団服一着売るだけで、余裕で数ヶ月暮らせるだろう。

無駄に馬鹿高い服。
神田もそう言っていることが多いが、その通りだと雪も思った。
つい呆れ顔になるものの、しかし装飾品のお陰で駄賃代わりに宿屋に泊まることができた経験もある。
元々団服に金が掛かっているのは、銀や金の装飾だけではない。
一人一人の戦闘スタイルに合わせた縫合や生地の選別、魔導師の術式が刻まれている特別性なのだ。
致し方ないものだと、無駄な団服へのやっかみは止めることにした。

気を逸らすように巡らせた視界に映り込んできたのは、壁に立て掛けられている黒光りした鞘に包まれた刃物。
神田の装備型イノセンス、日本刀モデルの六幻。

目が止まったのは、単なる興味からではなかった。



(そういえば…)



首筋に手を伸ばす。
チャリ、と揺れて音を立てるチョーカーに付けられている小さな十字架───イノセンス。

狼と化した雪を鎖で縛ろうとするトクサから逃げる途中、一瞬偶然にも放ったノアとしての力。
その時雪の首筋を伝い、確かに"痛み"と取れる衝撃が体を一度通った。
逃げることに必死で微かな"痛み"だったから無視していたが、改めて考えればすぐに答えは見つかった。

恐らくそれは、ノアの力に反応したイノセンスの"拒絶"だ。



「………」



これがルベリエの言っていた首輪の真意なのだろう。
もしノアの力が増せば、イノセンスの拒絶も大きなものとなる。
その時はまた"あの時"のように体を焼かれてしまうのだろうか。



「…っ」



ぞわ、と体が微かに震える。
反射的に首を振った。



(駄目だ。これくらいで弱気になったら)



身を焼かれようとも、命まで落としはしないだろう。
ルベリエが雪を狗として手元に置いたのは、そのノアの力でさえも利用する為だ。

となれば。



(私も利用してやるんだ。この力を)



自分にだって扱えるはず。

力を与えられたのならば、使いこなせばいい。
抑え込めないものならば、操ってみせるまで。

守りたいものの為に。



(主は私だ)



決定権は掴み取るもの。

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