My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
『わたしもへんそーしたら、おかしもらえるかな』
『ユキはムリだよ』
『なんで?』
『へんそーする衣装がないだろ?』
『…どうしたらいしょうもらえるの?』
『オレはかーさんに作ってもらったけど、ユキにはムリだよ』
『なんで?』
『だってユキには、かーさんいないだろ?』
『……いるよ』
『いないじゃん』
『いるもん。ちゃんとむかえにきてくれるって、いった』
『へー。じゃあ証拠は?』
『しょうこ?』
『かーさんがいるって証拠。見せたら信じてやるよ』
『………』
『ほら、なんもないじゃん。ユキはウソつきだー』
『っ…うそじゃないもん!』
頭の緩い子供だったとは思うけど、嫌なことを言われてるのはわかった
頭の緩い子供だったから、何が良くて悪いことかはわかっていなかった
嘘つき呼ばわりされたことより、親を否定されたことが堪らなく嫌で
気付けば馬鹿にして笑うあの子に、掴み掛かっていた
年上のあの子の方が力があったから、結局ぼろぼろに負けちゃったんだけど
とにかく必死で、取っ組み合いになるまで喧嘩をした
そして初めて、小母さんにこっ酷く怒られたんだ
『なんて乱暴な子なんだろうね…ッ親が親なら子も子だよ!罰として飯抜きだ、今日一日其処から出てくるんじゃないよ!』
離れにある、お粗末な隙間だらけの空き家に放り込まれて
その日からそこが私の"部屋"となった
遠慮なく舞い込んでくる風は冷たくて、寒くて
ガタガタと鳴る薄い木の壁は怖くて、心細くて
なんでそんな扱いを受けなきゃいけないのか
なんで親と自分を罵倒されなきゃいけないのか
わからなくてひたすら泣いた
『っ…おとぉさん…おかぁさん…』
涙が枯れ果て一滴も出なくなっても、泣き続けていたら
いつの間にか疲れ果てた体は、眠ってしまっていた
だけど空腹の体はひもじくてひもじくて
途中で寝付けず起きてしまった
太陽もすっかり沈んだ、夜
真っ暗な空き家の中で、ひとり蹲ったまま
そこで、ゆらゆらと揺れる淡い光を見つけた