My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
───ふわふわする
なんだろう
温かい
少し小刻みに揺れる感覚が、まるで揺り篭みたいで心地良い
ゆらゆら揺れる
私の体を支えてくれる、大きな手
…あ
この感覚、何処かで憶えがある
"雪。今日から此処が、新しいおうちだよ"
小さな私の体を抱いて、優しい声で囁いてくれた
温かい声
温かい腕
初めて連れられた家を見上げる私に、此処に住むんだよと教えてくれた
きっとあの時の私は、そのことをよく理解していなかったと思う
だけど
温かいその声が、腕が、離れていくのが嫌で
必死にしがみ付いていたっけ
"大丈夫。迎えに行くから"
"いつか三人で一緒に暮らしましょう"
いやいやと首を振る私をあやすように、大きな手は背中を撫でてくれた
頭を撫でて頬にキスをくれたのは、傍らに寄り添うもう一つの優しい体温
お父さん と お母さん
"雪の為なんだ"
"此処なら安全だから"
幼い私には、なんで置いていかれるのか
理由なんて何一つわからなかったけど
"いつかまた"
その温もりを感じられる時を信じて
そうして、私は小母さんの家に残された
ひとり