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My important place【D.Gray-man】

第45章 10/31Halloween(番外編)



「なんだこの犬。…にしちゃデケェ。狼か」

「わんっ!わふ…っ!(助けて!トクサに追われてて…!)」

「煩ぇ、喚くな。どっから迷い込んできたんだテメェ」



飛び付きたい一心だったが、この体でそれをすれば怒り任せの拳骨を喰らう気がする。
長年神田と組んできた直感は正しく働き、なんとか足元で急ブレーキを掛けて、雪は必死に見上げ助けを乞うた。



「ああ、すみません使徒様。その獣は我らの飼い犬でして」

「!」



サク、と後ろで芝を踏む音。
敏感に聴き取った三角耳を後ろに倒し、慌てて振り返る。
雪の目に映るは、爽やかな笑みを浮かべたトクサ。



「返して頂けますか?」

「返すも何も、俺の犬じゃない」

「…きゅふん…」



歩み寄って来るトクサに、咄嗟に机の下へと潜り込む。
耳と尾をヘタらせ鳴く狼の姿を目にして、神田は興味なさげに溜息をついた。
面倒事に巻き込まれた気分だ。



「こいつは嫌がってるみてぇだが」

「まだ新しい環境に不慣れなだけですよ。きちんと躾れば、そのうちに慣れる」



トクサの言葉の意味がわかるのか。
机の下に潜り込んだ狼が、神田の足にぴたりと身を寄せてくると、その毛皮の体が震えていることに気付いた。
身に付けているセーターは暴れでもしたのか、所々破けている。
首のチョーカーに繋がっている鎖は、術印が刻まれたもの。

見覚えがある鎖に、僅かに神田の眉間の皺が寄った。



「ただの犬にしては厳重な縛りだな」

「時々狂暴になり手が付けられなくなるのですよ。周りを傷付けさせない為にです」

「…それで、こいつ自身を傷付けんのか」

「どういう意味です?」

「そのままだ」



ざっと目を通した狼の毛は、あちこち暴れた跡なのかほつれ乱れている。
此処に来るまでにトクサと一悶着あったのは一目瞭然だった。

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