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My important place【D.Gray-man】

第45章 10/31Halloween(番外編)



「それより…何やら面白いものを連れていますね。使徒様」



瞑ったままのトクサの細い目が、雪へと移り変わる。
薄らと微かに開かれる、見透かすような目に捉えられ体が緊張する。
雪は無言で尾を腹の下に丸め込んだ。



「何故教団に獣がいるんですの?そんなイノセンスの話は聞いていませんわ」

「彼女は恐らくイノセンスではありませんよ、テワク」



狼として世界を見ていると、いつもより周りの気配が敏感に伝わってくるようだった。

鋭い嗅覚に伝わる、汗や本人の発する匂い。
大きな耳に入り込む、声の振動や物音。
足踏み一つでさえ、肉球を伝い感じ取れる。
獣と化すと、ここまで相手の行動が読み取れるのか。
恐らくそれは狼として備えられたものなのだろう。

眉を潜めて見下すように目を向けてくるテワクからは、ひしひしと嫌な気配が伝わってくる。
対してトクサからは負の気配は感じ取れないが、逆にそれが薄ら寒さしか感じなかった。

何故ならトクサは"彼女"と雪を呼んだのだ。
つい朝方言葉は交えたが、狼と化してからは初対面であるはず。
なのに何故性別がわかるのか。



「何をそんなに怯えておられるのですか?───月城雪」

「!」



金瞳が見開く。

やはりトクサは気付いていたのだ。
しかし何故わかったのだろうか。

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