My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「ぼ…僕のこと、わかりますか?」
恐る恐る問い掛けてみる。
リンクの言う通り、心は雪のままなのか。
もし心まで狼と化してしまえば、下手すれば襲われてしまうかもしれない。
アレンの声に、耳を傾けるかのようにぴんと立った三角耳が向く。
そして。
「わぅん…」
ぺたんと後ろ脚を落として座り込むと、耳と尾をヘタらせ鳴いた。
否、泣いた。
「あ、中身は雪さな」
「言ったでしょう、心は人のままだと」
「わぁあ!泣かないで雪さん!」
めそめそと落ち込む狼と化した雪を、慌ててアレンが抱き込む。
「一日で戻りますし!狼だって可愛いですよ!こんなにもふもふして…っ…もふもふ……もふ…」
ぷるぷると震える獣の体を抱きしめれば、ふわりと柔らかい毛並みは手触りが滑らかで心地良い。
思わず何度も背中を撫でてしまうアレンに、上がる狼の鼻先。
目と目が合う。
獣のそれと同じ眼孔をしているが、じっと見ていれば人の面影も残しているようにも見えた。
その目が潤み、震えた鼻先がアレンの胸元に押し付けられる。
「…きゅーん…」
「!(可愛い!!)」
か細い声で鳴きながらの甘えた仕草に、ぽんっとアレンの頬が赤みを帯びた。
「大丈夫ですよ、僕が傍にいます。元に戻るまで、面倒見ますから」
「うっわ…あれどう見ても犬っころにデレてる人の画さ…」
ほわほわと頬を緩ませながら、アレンの手が雪の頭を撫でる。
動物好きであれば、確かに絆されても仕方ないのかもしれない。
「アレンって犬好きだったんさな……ん?」
「す…っげぇ…!」
後頭部で両手を組みながら苦笑するラビは、同じく獣に絆されてしまった人物を捉えた。
「雪ねーちゃんッ!」
「きゃんっ!?」
「わッティモシー!?急に抱き付いたら雪さんが危ないから!」
目をキラッキラと輝かせ、突撃するように雪へと抱き付くティモシーだ。