第45章 10/31Halloween(番外編)

「満月か似たものを見たら変身するっていう、あの大猿ですよねっ！？」

「…ウォーカー」

「僕昔から好きだったんですよ！最終形態！って感じが格好良くて！」

「ウォーカー、待ちなさい」

「悟空の大猿も好きですけど、やっぱりべジータかな…黄金大猿は有りですが、やっぱり好きなのは初期の」

「誰がドラゴンボールの話をしましたか！」

「え？じゃあGTの方？」

「違います！ZでもGTでもましてや改でもありません！大体黄金大猿は私は認めてません、あれは原作とは別物です！」

「ええー…リンクって原作重視派ですか？やだやだ、GTはアニオリだから別物とか言うんでしょ。全部受け入れてこそのファンですよ」

「それは個人の意見でしょうっ勝手にファンの定義を決めないで頂きたい。好きだからこそ葛藤も生まれるのです。譲れない思いがあるのです」

「じゃあなんで黄金大猿のことを知ってるんですか。なんだかんだ言って観てたんじゃないですか？GTも」

「そ、それは…観ずに否定するよりも、きちんと物事を捉えた上での───」

「いちいち理屈っぽく言わずに素直に認めたらどうですか。本当は楽しんで観てましたって！」

「ッまさかウォーカーに言い包められる日がくるとは…！」


「あのさ。スゲー話脱線しまくってんだけど。オレもドラゴンボール好きだけど、違うだろ今ソレ」



一人冷静さを取り戻していたラビだけが、知らぬ間に蹲っていた雪の背中を擦りながら、ぼそりと二人の間に口を挟んだ。
いつの間にハロウィンからサイヤ人の話になったのか。



「二人が言い合ってる間に、雪変わっちまったけど」

「えっ？ほ、本当ですかっ！？」

「見せて下さい、月城雪」



ラビの言葉に咄嗟に覗き込むアレンとリンク。
二人の目に映ったのは、顔を両手で覆い隠し俯く雪の姿だった。

リンクの言葉に抗うように、ふるふると首を横に振る。
その仕草で、もぞもぞと震えた頭からぴょこんっと何かが持ち上がる。
髪色と同じ、それは尖った大きなふさふさとした二つの三角耳だった。
蹲る足に絡み付くようにしてヘタっているのも、同じ毛色のふさふさとした尾。

一目瞭然。
これは獣を模した体の部位である。