My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
目を剥く。
見覚えのあるその色は、アレンにとっても鬼門の色。
(まさかノアの異変…!?)
まさかこんな所でノアの片鱗が出てくるとは。
「雪さんッ!」
咄嗟に両肩を掴み、強い力でラビから引き離す。
覗き込んだ雪の顔は上の空のようで、見開いた両目だけがゆらめくように輝いていた。
「しっかりして!」
「へ?なんさ、どしたんっ?」
「わかりません、ラビの炎を見てたら急に固まって…ッ雪さん、返事をして下さい!」
「オレの炎?」
慌てるアレンとは裏腹に、ぺたぺたと己の顔を触りながら首を傾げるラビは、近くにあった銀のトレイに顔を映して炎とやらを確認している始末。
「月城がどうしたんです?ウォーカー」
「それが、もしかしたら…っ…ノア、の───」
監視役として傍についているリンクに、その言葉をはっきりと伝えるのは一瞬躊躇した。
それでも辿々しいアレンの言葉を拾ったリンクは、驚き様に雪を覗き見る。
「……ウォーカー」
しかしやがて溜息をつくと、少しばかり安堵した顔で首を横に振った。
「これは違いますよ」
「え?」
「貴方と同じ、室長の薬で起きた異変です」
「で、でも目が…っ」
「よく見て下さい。それだけではないでしょう?」
冷静に物事を判断するリンクの言葉に、慌てて雪の様子を伺い直す。
アレンの銀灰色の目に映ったのは、ざわざわと髪先を騒ぎ立たせる雪の姿。
髪先だけではない。
ゆらめく金色にも見える瞳や、指先、口元。
体の至る所にその"ざわめき"は見えた。
「恐らく、南瓜の灯がきっかけです。満月とは異なりますが…丸い発光体を見ると変化を促す。その生き物なら知っているでしょう」
「満月?…あ!」
「気付きましたか」
「お猿さんですかっ!?」
「そうです、おさ───は?」
満月の日に変化する、オカルトものの生き物。
と言えば一つしかない。
はっとしたアレンが高揚気味に出した答えに、頷きかけた頭を寸での所でリンクは止めた。
予想していた答えと、大分違う。